VVVF名鑑

当サイトについて

VVVF名鑑とは?

 当ウェブサイトでは、管理人がコイル(『モハラジオ』あるいはそれに準じた自作センサ)を用いて録音した鉄道車両のVVVF音の音声データ、及びその周波数(音程)を可視化した画像を、解析結果についての説明を交えて公開しております。
 私たちが普段耳にするような『電車のモーター音』は、例えば以下のファイルのように聴こえるかと思います。

普通に録音した電車の加速音

 このように普通に録音した音からは、駆動装置や歯車比によるモーター音の違いがわかる反面、PWMのパターン(モーター音にかき消されてしまう非同期音後半部分の音の変化や、用いられているパルスモードの全容等)がわかりづらいといった点があります。
 しかしこの電車の音を、コイルを用いてモーター付近で録音すると以下のような音を拾うことができます。

コイルで録音した電車の加速音

 先ほどの普通に録音した音と比べると、鳴っている音の音程はほとんど同じであるものの、より鮮明でやや"電子的な"ものになっているのがおわかりいただけるかと思います。ではなぜわざわざコイルを用いてこのような音を拾っているかというと、この音程を可視化したときに以下のような情報がわかるからでございます。

可視化したコイルからの音(横軸:時間、縦軸:音程)

※Fc=(パルス数)*Fsとならないパルスモードもあります(5P等)。

…いきなり情報量が多くなって申し訳ございません。コイルで録音された音からは歯車比等による違いが現れないものの、このようにPWMのパターンがはっきりわかり、周波数等を定量的に解析できるといったメリットがございます。
 これまでの鉄道車両には様々な種類のVVVFインバータが搭載されており、また多種多様なPWMのパターンが用いられてきました。これらのVVVF音の種類を、周波数や切替パターン等といった特徴から体系的に整理し、音鉄のみなさんが理解・考察しやすいようにすることを目的に当ウェブサイトを開設いたしました。

扱うコンテンツについて

『傾向と対策』

  • 基本的には『モハラジオ』等コイルを用いて録音する人向けに書いてありますが、その他にも音鉄観点から見たときの事業者ごとの傾向についての情報を扱っています。

録音データ

  • このウェブサイトではコイルを用いて録音した鉄道車両のVVVF音の音声データ、及びそれを『WaveTone』で可視化した画像を公開しております。ここで取り上げる車種は無理のないコイル録音が可能で、かつ可視化したときにスペクトルが明瞭にわかるものに絞っております。このため大半のアルミ車に代表される、側扉付近でノイズまみれの中辛うじて音が録れるような車種の掲載は見送らせていただきます。また、VVVF装置真上で録れるゲート電圧由来の音についてもモーター真上で録れる相電流由来のものと波形が異なり、解析に不向きでありデータの品質管理の観点からこちらも掲載を見送らせていただきます。ご了承ください。
  • 録音機材はICレコーダーについてはPanasonic RR-XS705とTASCAM DR-22WLを用いております。基本的に24bit・96kHzで録音していますが、一部16bitのものや44.1kHzのものもございます。
  • センサ(コイル)部についてかつては製品の『モハラジオ』を用いていました。しかし2018年3月にこちらを紛失してしまい、生憎すでにモハラジオが生産中止となっていたので以降は自作品を用いて録音しております。自作品の中身としては、100mHのコイルを4極ケーブルに直に繋ぐだけの非常にシンプルな回路となっています(モハラジオはコイル2個用いているのに対し、自作品は収録効率を上げるため1個のみをLチャンネルに接続させモノラルとして使用しています)。なお厳密には4極ジャックを使用し、断線防止のためのはんだ付けを行なっていますがそれでも比較的簡単にセンサ部は制作できます。

▲現在の録音機材である、自作したセンサとDR-22WLです。

▲自作センサの中身。100mHのコイルが1個入っているだけです。

  • ファイルの命名規則は以下のようになっています。

※2019.7.5以降のアップロード分より、事業者名先頭を大文字とし後ろに"_"を追加しております(海外事業者対応のため)。また、"更新"の英語表記を"renewal"→"update"に変更しております。

※頂き物に関しても、通し番号を2桁としています。

WaveTone解析画面

  • 各音源とともに、それを採譜支援ソフト『WaveTone』で可視化した画面を0km/h~CVVF領域に到達する範囲まで掲載しております。
  • 縦軸は音階(=周波数の対数)、横軸は時間を表しています。注意点として横軸のスケールは揃えておらず、基本的にはVVVF領域が画面の約2/3を占めるよう調整しております(つまり、例えば加速度の違うE233系1000番台と2000番台でも、ほぼ同じような解析画面が表示されるよう横軸を調整しております)。
  • 色は周波数の強い成分ほど赤、弱い成分ほど青に表示されます。
  • 画像には非同期変調のキャリア周波数や、一部では主電動機出力周波数(インバータ周波数)等が記載されていますが、WaveToneの分解能の関係で必ずしも正確な周波数とはならず、実際には低周波であれば数Hz、高周波であれば10数Hzのずれが生じることがあります。
  • 可能な限りインバータ周波数やキャリア周波数付近が強く表れる一方で、高調波成分の様子までわかるように収録時は録音位置を調整しております。なお、車種によってはこの通りに収録することが難しい場合もございます。

解析結果

  • 解析結果は、VVVFの装置名(型番)・登場時期・パターン・収録のしやすさについてまとめた表および続く説明文によって表されます。
  • 型番についての情報は自分で装置を撮影したもの以外はWikipedia、「鉄道車両と技術」(「VVVFインバータ装置 諸元表」シリーズ)、こつあず鉄道ちゃんねる様、音のでる鉄道写真館様、Oka-Laboratory様、DK-Report様、そしてTwitterの目撃情報からの引用とさせていただいております。
  • 解析は床下電子音楽様のご協力のもと、管理人個人が行なっております。

『収録のしやすさ』

    タイプ
  • 標準…床に点検蓋がなく、モーター付近で録音可能な車種が該当します。
  • 点検蓋…点検蓋つきの床(もしくは点検蓋が埋められた床)で、モーター付近で録音可能な車種が該当します。VVVF化改造車や、Osaka Metroの車両に多いです。
    範囲(タイプ:『標準』の場合)
  • ★★★…大半のステンレス車が該当します。モーター付近であれば比較的録音可能な範囲は広く、その中でも(絶対的かつノイズに対し相対的に)最大音量でVVVF音が拾える場所は車両の線路方向の中心軸上にあることが多いです。ただし3レベル車に多い、1両に複数群のインバーターを搭載している車種は群間の周波数差による音のうなりが広範囲で生じやすいため注意が必要です。
    例:E231系・東急5000系・京成3700形
  • ★★…一部のステンレス車が該当します。ノイズに対しVVVF音が鮮明になる範囲が狭く、かつ最大音量で拾える場所が上記の中心軸上にはないタイプとなります。
    例:207系・東急3000系・京王1000系1020番台
  • ★…特殊タイプ。録音可能な場所は"編成中"に数カ所しかないため、自力で探すのが難しい車種になります(詳細は各車種の項目に記述。
    例:東武50000・60000系列
    範囲(タイプ:『点検蓋』の場合)
  • ★★★…点検蓋の金属の縁に加え、点検蓋周辺の床でも録音可能な車種。むしろ縁でない部分を探った方が、ほとんどノイズのない鮮明な音が拾えます。
    例:Osaka Metro 新20系・都営6300形(IGBT車)・京王8000系
  • ★★…点検蓋の縁でのみ録音可能なケース。車種によってピンキリではあるが比較的ノイズが入りやすく、録音されるインバーター音も高周波成分が強くなります。
    例:東京メトロ7000系・阪急8000系
  • ★…特殊タイプ。『標準』タイプ同様"鮮明に"録音可能な場所は編成中に数カ所しかない一方、こちらは"鮮明でない"音なら各車の点検蓋の縁から最悪録音可能です(詳細は各車種の項目に記述)。
    例:京急1500形1700番台・600形1~3次車
    音質
  • ★★★…ほぼノイズなしで録音可能です。ただし影響は小さいものの、他機器由来の一定音が強弱を変えながら入り込むこともあります(例:E233系・223系)。
  • ★★…(1)ほぼノイズなしで録音可能だが、高周波成分の減衰が大きく音がこもってしまう車種(例:京阪3000系、東武50000系列)。(2)(1)とは逆にVVVF由来の高周波成分が強く拾われてしまう車種(例:東急7000系)。(3)他機器由来の一定音が拾われやすい車種(主に点検蓋の縁で発生)。編集時フィルターをかけることで幾らかは軽減可能です(例:東京メトロ7000系)。
  • ★…他機器由来の一定音がその高調波成分含め強く出るため、フィルターでの除去が難しい車種。ただしパルスモードの推移はギリギリ判断できます(例:京急600形4次車)。
  • その他VVVF音はギリギリ拾えるものの、ノイズに打ち消されパルスモード推移がわからないものがありますが、解析が難しいため本サイトでは扱いません(例:東京メトロ9000系)。

『Analysis』カテゴリのページについて

  • 『Analysis』カテゴリに属するページは、VVVFのメーカーごとに音を分類しています。
  • 基本的には時系列(このメーカーはその時期どのようなパターンを主に用いてきたか)に沿っての分類を行なっております。また、取り上げるのはその時々においての主要なパターンであるため、どのパターンにも当てはまらない例外的な音に関しては扱わない場合が多いです。ご了承ください。

注意事項

  • 当サイトに掲載されている全てのコンテンツに対し、無断転載を行うことを禁止いたします。転載希望の方はお問い合わせください。ただし、当サイトの解析画像、あるいは当サイトの音源に対し個人的に解析を行なった結果については、用いたコンテンツが当サイトのものであることを明記した上でTwitter等のSNSで共有することは許可いたします。また、個人利用のために音源や画像を使用することは問題ございません。
  • 当サイトで扱う音について関連メーカーに問い合わせることはご遠慮願います。
  • 当サイトにおける解析は定量的な情報に基づいたものでございますが、100%正しい情報が掲載されている保証はございません。気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

管理人プロフィール

HN:荏原急行 職業:エンジニア(設計・開発)

199×年
生誕、東京の城南地区で育つ。
2002年頃
東急9000系をきっかけに鉄道の音に興味を持ち始める。
2007年
音鉄サイトを見るようになり、携帯電話のボイスレコーダーから収録活動を開始。翌年に初めてICレコーダーを購入。
2009年頃
この頃から鉄道から一旦離れるもたまに収録活動は行なっていた。
2015年
たまたま見つけたYouTubeのモハラジオ動画に感銘を受け、再び鉄道の音に注目し始める。
2016年
現Twitterアカウント開設。夏明けにモハラジオを購入し、再び『収録』活動を行うようになる。

お問い合わせ

管理人Twitter(@VVVF_tokyu2000)宛にDM送信願います。Twitterアカウントをお持ちでない場合はvvvftokyu2000★gmail.com(★を@に変えてください)宛にメールを送信してください。