近畿日本鉄道
傾向と対策
近鉄のVVVF車のうち、通勤車でコイルでの録音が容易であるのは普通鋼製の1420系・5200系列・けいはんな線の車両群に限られ、その他はアルミ製であるため録音には適していません。一方で、特急車に関しては現在に至るまで普通鋼で製造されているため、コイルで音を拾うこと自体はそれほど難しくはありません。ただし、特急車であるが故の接客設備に左右されるため、通行の妨げにならない範囲内で収録できるようには配慮したいですね。
7000系
最終更新日:2022.12.31
東大阪線(現・けいはんな線)開業用、および地下鉄中央線直通用に1984年に登場しました。直通先の20系に倣いGTO素子VVVFインバータを搭載し、奇数編成には三菱製、偶数編成には日立製の装置が採用されました。その後、2006年のけいはんな線開業に向けた改造として、どちらもソフト改修により音が変化しています。2013年にはHL08編成のうちの7208号が日立製IGBTに換装された他、2019年には本格的なリニューアルが始まり、まずHL06編成、HL07編成に対して実施されました。日立編成のHL06編成はHL08編成同様1両のみの換装となった一方、三菱編成のHL07編成は全VVVFが換装されている点が興味深 いですね。その後、HL08編成は全M車ともIGBT-VVVFに換装されています。
16400系
最終更新日:2022.12.31
22000系の南大阪線・吉野線バージョンとして1996年に2連2本が登場しました。22000系が三菱GTO・オールM構成であるのに対し、こちらは日立3レベルIGBT・1M1T構成となりました。2015年には車体更新が行われましたが、VVVFの変更はなく現在も独特の音を奏でています。
21020系
最終更新日:2022.12.31
看板特急「アーバンライナー」として走ってきた21000系へのリニューアルが行われることとなり、入場時の予備車確保用として2002年に2本が登場しました。内装にはアンケート調査の結果を取り入れた他、機器仕様も時代に即したものとなり、IGBT-VVVF採用、MT比1:1となりました。PWM仕様は他では聴くことのできないパターンとなり、後に22600系や50000系にも展開されました。これらは後年阪神直通対応の関係かソフト改修で音が変化しましたが、21020系は現在でも登場時の音を保っています。21020系は編成数こそ少ないですが、限定運用が組まれているため、狙おうと思えば狙える車種です。
音声ファイル
VVVF | MAP-234-15VD102(1C2M2群) 三菱2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用) |
登場時期 | 2002年 |
パターン | 加速時:非同期-3P-1P 減速時:1P-3P-5P-9P-非同期 |
収録のしやすさ |
タイプ: 標準 範囲: ★★★ 音質: ★★★ |
21020系のVVVF音です。おそらく日本で聴ける最も奇怪なVVVF音の一つと言っても過言ではないパターンとなっています。加速時はまず、強めのランダム変調のかかった状態でキャリア周波数の平均が約250Hz保持→緩やかに約440Hzまで上昇、かと思いきやランダム変調が外れるとともに360Hzまで一旦下降します。そして後半部は約685Hzまで上昇して3パルスに切り替わります。この時点でも十分カオスであるのに、減速時はさらに同期5パルス、9パルスが追加される分非同期が短くなり、まるでGTOのような雰囲気が加わります(なお22600系・50000系のソフト更新車は5パルス、9パルスの分まで非同期となっています)。どのような背景でこのようなキャリア周波数が採用されたのか、理屈が気になって仕方がないパターンですね…。
7020系
最終更新日:2022.12.31
2004年、けいはんな線(延伸)開業用として6連4本が登場しました。車体構造は7000系に準じていますが、内装等はシリーズ21の要素も取り入れられています。VVVFは三菱製2レベルIGBT-VVVFを搭載していますが、シリーズ21や21020系等の特急車と異なりオーソドックスな音となっています。なお、床下には日立製2レベルIGBT-VVVFのようなグリルも見受けられますが、こちらはSIVのようですね(この形状のものは相当珍しいはずです)。
音声ファイル
VVVF | MAP-154-75V131(1C2M2群) 三菱2レベルIGBT(DC750V・4極IM用) |
登場時期 | 2004年 |
パターン | 非同期-3P-1P |
収録のしやすさ |
タイプ: 点検蓋 範囲: ★★★ 音質: ★★★ |
7020系のVVVF音です。派手なシリーズ21や特急車と違い、非同期キャリアは標準的な拡散幅のランダム変調が適用された一定のものとなっており、同じ800Hzの京急1500形や03系と近い雰囲気になります。ただ、登場年が2004年と、このタイプの中では比較的早期のものになっています(2006~7年頃からE233系を筆頭に普及したイメージがあります)。後年7000系機器更新車も同じような音を発するようになりましたが、7020系の方が非同期に対する3パルスの長さの割合が短くなっています。
16600系
最終更新日:2022.12.31
22600系の狭軌版として2010年に登場しました。先代の16400系同様2連2本が製造され、VVVFも引き続き日立製となりました。足回りは6820系との共通点も多いですが、本系列オリジナルの部分もあります。
音声ファイル
VVVF | VFI-HR2420F(1C2M2群) 日立2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用) |
登場時期 | 2010年 |
パターン | H2I-1 非同期-1P |
収録のしやすさ |
タイプ: 標準 範囲: ★★★ 音質: ★★★ |
16600系のVVVF音です。このVVVFですが、個人的には結構"ちぐはぐ"な印象があります。まず、冷却器のグリルは2011年以降に普及したタイプのものが一足早く取り入れられています。にも関わらず、音は急上昇タイプ、しかも広域3パルスなしの初期の中でも初期の2レベルIGBTのパターンが採用されています。そして、驚くべきことにこの初期のパターンに対しランダム変調が加えられています。おそらく6820系をはじめとするシリーズ21のパターンをベースに、さらなる静粛化を図りつつ誘導障害をクリアしやすいようにこのような設定になったと思われます。同様の関係は、東急5000系列の2010年度以前の日立製VVVFと2011年度以降の日立製VVVFの間柄にも言えそうですね。
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