VVVF名鑑

阪神電車

傾向と対策

 阪神のVVVF車は収録するうえでどれも一癖あるといった印象があります。特定の周波数以上の領域で減衰が発生するリスニングスポットが多い5500系、1C1M故に干渉が発生しやすい5700系、山陽まで顔を出すため捕まえにくい9300系、そして1本しかない5550系等、満足できるデータを録音するにはある程度の苦労を要する系列が多いです。一方で、機器更新やVVVF車の廃車がないため、当分の間は消滅しそうなVVVF音がないことが救いと言えそうです。ある程度時間をかけても良いので、各系列とも綺麗な音を録音したいですね。

5500系

最終更新日:2022.12.31

 1995年に登場したジェットカーです。起動加速度が従来車の4.5km/h/sから4.0km/h/sに下げられたものの、VVVF制御採用で向上した中高速域での性能により、従来車と比べても遜色ない走りを実現しています。2016年より更新工事が始まり外装・内装ともに大幅に変化があったものの、VVVFはGTOのままとなっています。2019年には改造により武庫川線用の2連が誕生しましたが、こちらも引き続きGTOのまま運用されています。

音声ファイル

解析画面

加速
減速

音声ファイル(加速時9Pなし)

解析画面

加速
VVVF MAP-118-15V55(1C8M)
三菱2レベルGTO(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1995年(現ソフト:1990年代後半?)
パターン 非同期-9P(出現しない場合あり)-5P-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 5500系のVVVF音です。非同期変調のキャリア周波数は序盤に上昇して後半は一定を保つタイプですが、一定部はこのタイプの三菱GTOにありがちな360Hzではなく、400Hzと少し高くなっています。もっとも、登場時は360Hzくらいであったという情報もあります。さらに、一時期の5506-5606ユニットのキャリア周波数は、後半部こそ400Hzであるものの起動時が220Hzよりも低かったようです。
 2番目のファイルのように9Pが現れないケースもあるようですが、非同期終端のインバータ周波数が固定というわけではないようです。条件によって、非同期-9Pの切替点と9P-5Pの切替点が前後し、後者が前者より低いインバータ周波数となった場合に9Pが隠れ、非同期→5Pと遷移するようですね。

1000系

最終更新日:2022.12.31

 2006年に阪神なんば線開業、および近鉄奈良線直通に対応する車両として登場しました。車体は9000系以来のステンレスとなり、6連には1C4M用VVVFが計3台、2連には1C2M2群+SIV(デュアルモード方式)の装置が1台搭載されています。2020年現在は6連13本、2連9本が在籍し、併結可能な9000系とともに阪神線・近鉄線・山陽電鉄線で運用されています。

1C4M車

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF MAV-174-15V162(1C2M2群)/MAV-174-15V163(1C4M)
三菱2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2006年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 1C4M車(6連)のVVVF音です、といっても1C2M車(2連)との音の差は見受けられなかったです(録音・確認済)。非同期変調のキャリア周波数が700Hzで、歯車比が16:Xである点は名古屋市交6000形更新車と共通であり、普通に聴いたときはかなり近い雰囲気になります(キャリア周波数は京急新1000形(三菱IGBT車)、歯車比(+駆動方式)はE233系とも共通)。一方で、起動時はインバータ周波数固定でも速度推定込みでもないため、他のキャリア700Hzの三菱IGBTと区別できるかと思います。

5550系

最終更新日:2022.12.31

 5550系は2010年に登場しました。車体は5500系に準じていますが、足回りには当時の最新鋭であった1000系とほぼ共通の機器が用いられた関係でMT比が3M1Tとなり、ジェットカー初の付随車が誕生しました。4連1本が製造された後の増備はなく、その後ジェットカーはまったく別のシステムを用いた5700系に移行したため、5551Fが唯一の存在となっています。

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-174-15V163B(1C4M)
三菱2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2010年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 5550系のVVVF音です。1000系と特に差のないパターンとなっていますが、加速度が異なるため、起動から1パルス入りまで1000系は約16秒かかるのに対し5550系は約13秒となっています。(掲載データ比。5550系の方が1パルス入り時のインバータ周波数がわずかに高いにも関わらず、です。)両者を比較して聴くと、加速度の違いによって音の印象が変わることを感じることができます。