VVVF名鑑

西日本鉄道

傾向と対策

 西鉄は6050形のGTO車が消滅して以降特段狙いにくいVVVF音はないものの、形式によって運用が分れているため、予め調査しておく必要があります。一番狙いやすいのは7000形・7050形で、甘木~大牟田間の普通運用で確実に録音できます。一方で優等列車においては、ほとんどの場合速度照査の関係か、減速時にCVVF領域から停止までの間に一旦ノッチオフするため、理想的なパターンは収録しにくいです。ただし、上りの薬院駅到着時等、一発ブレーキで停車するケースもなくはないようです。
 この他、西鉄では複数の形式においてモーターを搭載していない箇所のある電動車があるため、こちらについても位置を事前に把握すると良いでしょう。

6050形

最終更新日:2022.12.31

 6050形は、西鉄初の4ドア車である6000形のVVVF制御バージョンとして1995年に登場しました。足回りには三菱製GTO-VVVFを採用し、4連も3連も当初はすべて1C4M2群構成でした。ところが後に前者は1台、後者は2台主電動機が撤去されたようで、それらを用いて最終編成(6157F)が製造されています。
 2016年~2019年にVVVFの更新が行われ、ハイブリッドSiC適用のものとなりました。3連は更に主電動機が削減され1M2Tとなり、1C2M2群構成の装置が1台搭載されています。一方の4連は、同様の装置が中間M車に1台ずつ搭載と公式サイトには記載されているのですが、動画等を見る限りでは中間1両のみに両側各1個ずつ(計2個)パワーユニットがあるようなので、実際は1C4M2群構成となっているようですね。

機器更新車

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF 形式不明(1C4M2群または1C2M2群)
三菱3レベルIGBT(ハイブリッドSiC)(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2016年
パターン 加速時:非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-9P-3P-1P
減速時:1P-3P-非同期(ユニポーラ)-非同期(ダイポーラ)
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 機器更新車のVVVF音です。他のハイブリッドSiC適用三菱3レベルIGBT車と同様に、キャリア周波数はダイポーラ→ユニポーラ切替時に2倍になるほかは一定を保つという特徴があります(そのおかげか、小田急2000形の登場時等、初期の三菱3レベルIGBTと似ているとも言われています)。ただし、キャリアの4倍ではなく2倍付近の成分が強調されるダイポーラモードである点、キャリア周波数が(400Hz→800Hz)ではなく(455Hz→910Hz)と変化する点、そして加速時のみ9パルスがある点等、京都市交10系や小田急8000形等他のハイブリッドSiC適用3レベルIGBT車と異なる部分が多いようですね。特に、加速時9パルスを採用しているせいなのか、切り替わる時の共振が近年の車両にしては大きめになっていますね…。

7000形・7050形

最終更新日:2022.12.31

 一部普通列車のワンマン運転開始に伴い投入されました。7000形は6050形に続き4扉となりましたが、2003年登場の7050形では3扉に戻りました。機器も6050形に続きVVVFインバータ採用となり、電動車の4軸中1軸がモーター未搭載となっている点も受け継いでいます。
 2020年より機器更新が始まり、9000形に準じた装置へと換装されています。この装置は1C2M2群制御であるため、モーター個数が3個→4個に増えています。また、長らく併結は同系列同士でしか行われていませんでしたが、7000形は2022年より6000形・6050形との併結運用が組まれるようになりました。

未更新車(7050形)

音声ファイル

解析画面

加速
減速

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF SVF049-A0(1C3M)
東芝2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2000年
パターン 非同期-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 未更新車(7050形)のVVVF音です。この時期の東芝2レベルIGBTらしく、非同期急上昇→広域3パルス→1パルスと変化する設定となっていて、急上昇手前のキャリア周波数が625Hzに設定されている点含め、阪神9300系や813系IGBT車とそっくりなパターンになっています。この時期の東芝全般に言えることではありますが、同じく急上昇する日立2レベルIGBTと比べると、加速時最終的に到達するキャリア周波数が毎回変動したり、減速時は途中1~2回音が上下したりと何かと不安定な挙動を示しています…ということで、その挙動が異なる2ファイルを掲載してみました。

3000形

最終更新日:2022.12.31

 2006年に600、700形の置き換え用に登場し、西鉄初のステンレス車体が採用されました。その後も2000形や8000形を置き換え、現在は優等列車を中心に使用されています。2・3・5連が製造され、2連には7000・7050形に続き1C3MのVVVFが、3連にはトリプルモード(通常走行時の1C2M制御の他、1C4M制御やSIV制御が可能な仕様)のVVVFが、5連にはその両方が搭載されています。現在は60両が運用されています。

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速

音声ファイル(減速・停車後一瞬ノッチ投入?)

解析画面

減速
VVVF SVF049-A0 or B0?(1C3M)/SVF083-A0 or B0?(1C2M2群)
東芝2レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2006年
パターン 加速時:非同期-21P-広域3P-1P
減速時:1P-広域3P-15P-21P-非同期
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3000形のVVVF音です。非同期変調のキャリア周波数の設定は7050形に近いですが、625Hzに到達する前に21パルスに切り替わるパターンとなりました。しかも、加速時は21パルスの次は広域3パルスが続くものの、減速時は間に15パルスが加わる非対称なパターンとなっています(321系をはじめとするWPC15シリーズの東芝車や、阪急9000系、京急新1000形機器更新車も同様)。おそらく非同期終端のキャリア周波数に近づけるため、減速時はまず15パルスを入れ、後に調整が行われて21パルスを追加したからなのでしょうけれども…。
 3番目のファイルでは完全に停止した後一瞬だけ再び力行(?)となる様子を収めています。それなりの頻度でこのような挙動が見受けられるようですが、果たして運転台ではどのような操作が行われているのでしょうか…?

9000形

最終更新日:2022.12.31

 9000形は2016年に登場しました。3000形をベースにデザインが一新され、全電動車ともトリプルモードの2レベルIGBT-VVVF(ハイブリッドSiCモジュール)搭載となりました。室内はロングシートとなり、急行や普通を中心に運用されていますが、一部の特急にも使用されているようです。

音声ファイル(加速・21Pあり)

解析画面

加速

音声ファイル(加速・21Pなし)

解析画面

加速

音声ファイル(減速・21Pあり、やや空転)

解析画面

減速

音声ファイル(減速・21Pなし、空転)

解析画面

減速
VVVF 形式不明(1C2M2群)
東芝2レベルIGBT(ハイブリッドSiC)(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2016年
パターン 非同期-21P(出現しない場合あり)-15P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 9000形のVVVF音です。非同期の設定は相変わらず7050形3000形同様625Hz上限となっていますが、ハイブリッドSiCの特性を生かし高速域は15P駆動となりました。ただし、80Hz(減速時は1Hzのヒステリシス込みで79Hz)を境にPWMの方式が変化します(15倍キャリアである点は変わりません)。また、状況によって非同期の次に21パルスが入るときと入らないときがあるようですが、何によってこの条件が変わるかは不明です…。傾向として加速時は21パルスなし、減速時は21パルスありが多い印象でした。この点を除けば、名鉄9500系と近い設定とみて良さそうですね。