VVVF名鑑

横浜市交通局

傾向と対策

 横浜市営地下鉄は第三軌条方式のブルーラインと、リニア地下鉄方式のグリーンラインの2路線があります。ブルーラインは第三軌条らしく、録音時は集電装置由来と思われる擦れるような音が入りますが、よく入る位置と、ある程度は軽減される位置があるようなので同じ車両内で何箇所か試してみてベストスポットを探る必要があるかもしれません。車端部にのみ点検蓋がありますが、ない箇所でも音は拾えます。グリーンラインもリニア地下鉄らしく拾えるVVVF音が大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、こちらは場所によるばらつきは少なそうです。
 ブルーラインでは3000V形による3000A形の置き換えが今後予定されているほか、3000R形については機器更新が行われ2020年春には完了したようです。今後3000N・S形にも実施されるかは不明です。
 グリーンラインの10000形は登場時より何度かPWMパターンの変更があったようで、これまでに3タイプの音が確認されています。ただし、それぞれの登場順や該当編成の分布については今のところ不明でございます。

3000A形

最終更新日:2020.7.24

 3000A形はあざみ野延伸時の増備用として1992年に登場しました。足回りには三菱製GTO-VVVFが採用され、1C4M2群構成となっています。6連8本が製造され、その後機器更新もなく営業を続けていましたが、今後3000V形への置き換えが決まっており、数年以内の引退が予定されています。

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-148-75V32(1C4M2群)
三菱2レベルGTO(1500V・4極IM用)
登場時期 1992年
パターン 非同期-9P-5P-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3000A形のVVVF音です。非同期モードの前半部でキャリア周波数が上昇し、後半部で一定になる、この時期の三菱GTOらしいパターンが採用されています。非同期モードのスペクトル拡散はなく、キャリア周波数一定部は360Hz、同期パルスモードも9→5→3→1と変化するため、このタイプの三菱GTOの中では最もオーソドックスなものといっても良さそうですね。特徴的な点があるとすれば、このタイプが用いられている他の車種はインバータ周波数・キャリア周波数固定始動となっている一方、こちらは両者ともいきなり上昇する、といったことくらいでしょうか。

3000N/R/S形

最終更新日:2020.9.28

 3000N形は1999年の湘南台延伸時の増備車として登場しました。基本的な車体構造は3000A形を踏襲しているものの前面形状が変更され、VVVFもGTOからIGBTへと変わっています。この3000N形は6連7本が製造されました。
 その後、路線のワンマン運転化に備え、1000形・2000形を置き換えるために3000R/S形が2004年より登場しました。3000R形は完全な新製車となっているのに対し、3000S形は置き換え対象の2000形がまだ比較的若かったため、一部機器を流用しての製造となりました。なお主回路についてはどちらも3000N形ベースのものが用いられています。両者は外観上、帯色での区別が可能となっています。
 3000R形については2017年よりリニューアルが始まり、2020年までに全編成への実施が完了し現在は3000S形への工事に移行しています。この際VVVFもハイブリッドSiC適用のものへと換装され[1]、3000V形と似た外観のものが新たに採用されています。一方、磁励音は更新前と区別のつきにくいものとなっていますが、コイルで録音した結果相違点がいくつか確認されています。

[1]平成28年度 建設改良費 事業計画書/a>より

機器未更新車

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-148-75V77/77A(1C4M2群)
三菱2レベルIGBT(750V・4極IM用)
登場時期 1999年(当パターン:2004年)
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3000N/R/S形の、登場時より搭載しているVVVFインバータの音です。2020年現在はR形の更新が完了していることからN/S形でのみ録音が可能と思われます。
 所謂「竜巻インバータ」と呼ばれるものの一種で、非同期前半部でキャリア周波数が一気に上昇します。加速時はある程度の速度域まで低いキャリア周波数を一定に保ってから上昇する一方、純電気ブレーキが用いられている減速時は高いキャリア周波数を粘り強く保ち最後の最後で一気に落とします。なお、3000N形は当初純電気ブレーキに対応していなかったようで、当初より対応していたR形登場後に改造が行われたみたいです。

機器更新車

解析画面

加速
減速
VVVF 形式不明(1C4M2群)
三菱2レベルIGBT(750V・4極IM用)
登場時期 2017年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3000R/S形の、リニューアル時より搭載しているVVVFインバータの音です。上記更新前のパターンと非常に似通っているため区別がつきづらいですが、コイルで録音することで明確に違いが現れました。具体的には、①速度推定部がある(→主電動機のセンサレス化済み?)②非同期に対する3パルスの割合が増える、の2点で区別が可能です。
 ハイブリッドSiCが採用され、3000V形と似た外観の装置となっていますが同車のように三菱のSiC専用のパターンではなく、更新前のPWMに似せた何かしらの事情はありそうですね。

10000形

最終更新日:2020.9.28

 2008年開業のグリーンライン用の車両として登場しました。まず2006年に先行編成である10011F・10021Fが登場し、入念な試運転が行われました。2007年になると量産編成である10031F~10151Fが増備され、前照灯やアクセントカラー(ブルー→グリーン)等の変更が盛り込まれました(先行車も後にアクセントカラーを変更)。開業からしばらくは15本体制でしたが、2014年に10161F・10171Fの2本が増備されました。こちらの2本ではフルカラーLEDが採用された他、車体側面の淡いグリーン→濃いグリーンへのグラデーションが上下逆向きとなりました。
 登場時より何度かPWM制御が変更されているようで、確認されているだけでも計3種存在しているようです。うち1種類はリニューアル車である10081Fで確認されているタイプであり、機器更新によって登場したものと思われます。

その1

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF MAP-158-75V303(1C2M2群)
三菱2レベルIGBT(1500V・LIM用)
登場時期 2006年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★
音質: ★★

 10000形のVVVF音3種のうちの1種で、こちらは10021F(先行車)のデータです。
 音の特徴としては一番基本形ともいえそうなもので、非同期キャリアが加速時は一定(275Hz)→上昇→一定(645Hz)、減速時はこの逆に変化するという、典型的な「竜巻インバータ」の挙動を示します。ブルーラインの3000N/R/S形と比較すると起動時のキャリア周波数は若干低いみたいですね。もしかしたら登場当初はすべてこちらの音であったのかもしれませんね。

その2

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-158-75V303(1C2M2群)
三菱2レベルIGBT(1500V・LIM用)
登場時期 2006年(当パターン:2014年頃?)
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★
音質: ★★

 2014年の増備車登場時より採用されたと思われるパターンで、既存車も数本この音に変更されていた可能性があります。基本は「その1」とほぼ同じですが、加速時のみ275Hz→645Hzに変化する際一度音が下がり、「谷間」のようなものがある設定となっています。一方減速時はこの「谷間」はなく、「その1」とほぼ同じパターンとなります。ただし、このファイルでは3パルスが辛うじて出現しているようです。

その3(機器更新車?)

解析画面

加速
減速

音声ファイル(減速・3パルスなし)

解析画面

減速
VVVF 形式不明(1C2M2群)
三菱2レベルIGBT(1500V・LIM用)
登場時期 2020年?
パターン 加速時:非同期-3P-1P
減速時:1P-3P(ない場合もあり)-非同期
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★
音質: ★★

 10000形のVVVF音3種のうちの1種で、これは10081F(リニューアル車)のデータです。筐体に変化は見られなかったものの(辛うじて確認が可能なセンター南駅入線時での判断ですが)、横浜市交通局の計画通りであれば換装後の装置である可能性が高いです(3000R/S形のようにSiCが採用されているかは不明)。一見上記「その1」同様、275Hzから645Hzに変化するという挙動に違いがないように見えますが、よく見ると「その1」では比較的連続してキャリア周波数が変化しているのに対し「その3」では離散的に(階段状に)変化しています。これは、新京成8900形(GTO)京急1500/600形(三菱GTO・120kW車)を比較したときの違いといえばもう少しイメージがしやすいかもしれません。そして、もっと奇怪なことに、減速時の3パルスが消失することがありました。該当する2番目のファイルについて、高調波側が見やすくなるようフィルタをかけたりして確認してみたのですが、やはり同期モード内でスペクトルが変化する箇所がなく、1パルスからそのまま非同期に変化しているようでした。

3000V形

最終更新日:2020.7.24

 2016年に登場したブルーラインの最新形式です。車体構造は3000R/S形を基本的には引き継いでいますが、随所随所で最新技術が取り入れられ、足回りにはハイブリッドSiC適用VVVFが新たに採用されました(主電動機も近年の三菱製全閉4極IMのような唸りを上げるものとなりましたが、こちらはどうやら開放型のままのようです)。
 当初は1編成のみとされていましたが、今後3000A形置き換え用に7本が増備されるようです。なお、こちらの増備車は1本目を担当した日本車両ではなく川崎重工での製造となるようです。

解析画面

加速
減速
VVVF 形式不明(1C4M)
三菱2レベルIGBT(750V・4極IM用)
登場時期 2017年
パターン 非同期-27P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3000V形のVVVF音です。当時三菱のハイブリッドSiCは3レベルのものが主流でしたが、こちらは2レベルのものが採用されました。そのこともあってか、パターンは同社のフルSiC(2レベル)適用VVVFでよく採用されているものに準じ、非同期モードから3段階の27パルスへと遷移します。ただし、非同期モードのキャリア周波数は1000Hzと、フルSiCでよく用いられている1250Hzや1200Hzよりも抑えられています。現在管理人が把握している限りでは、ハイブリッドSiCで同期27パルスを採用しているのはこの車種のみとなっています。