VVVF名鑑

JR東海・名古屋臨海高速鉄道

傾向と対策

 JR東海のVVVF車は特急車含めステンレス製ですが、形式により収録のしやすさは異なります。例えば、313系は容易に収録できる一方、383系はリスニングスポットが狭いうえにノイズの比率も高くなります。また、発電ブレーキを搭載している場合、挙動が変わることがあるので区間を選ぶ必要があります。GTO車の機器更新は行われていませんが、この先置き換えられる可能性があるため、早めに収録しておきたいですね。

313系

最終更新日:2022.12.31

 1999年、国鉄時代からの旧型車両を置き換えるために登場しました。同一形式ながら両数・車内設備にバリエーションを持たせ、各線区に応じた仕様の車両が導入されています。MT比を1:1に保つため、3両編成は中間車が0.5M仕様となっています。このため、制御装置の構成は1C2M2群+SIV(デュアルモード)、1C2M2群(SIVなし)、1C2M1群(SIVなし)の3種類があります。
 増備は2015年まで続き、2006年以降に製造された3~5次車では1999~2001年に製造された1・2次車から機器の仕様が変わりました。また、一部の編成には閑散線区向けに発電ブレーキおよびブレーキチョッパが搭載されています。2022年からは315系の運用開始に伴い転属が発生しています。細かく分類すると3種類の音がありますが、各々の分布状況を把握しておきたいですね。

前期タイプ

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF C-SC37(1C2M2群)、C-SC38G1/G2(1C2M1群)
東芝3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1999年
パターン 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 1・2次車、および313系をベースとしている愛知環状鉄道2000系で聞くことのできるVVVF音です。東芝が本格的にスペクトラム拡散を使い始めた頃の登場となるため、同時期の東急3000系とキャリア周波数の設定が酷似しています。ただし、東急車はビブラート方式で周波数を拡散させているのに対し、こちらは一般的な乱数によるランダム変調を適用しているようです。また、非同期の終端ではキャリア周波数の急上昇を行いますが、加速時に関しては東急車よりも低く1200Hzまでとなり、その分1パルス開始時の変調率が下げられています。一方で減速時に関しては、東芝らしくこの部分でキャリア周波数が不安定に揺れますが、313系では特に顕著な挙動となっており、綺麗に下降することはほとんどありません。なお、ダイポーラ変調終端、およびユニポーラ変調開始時のキャリア周波数に関しては、拡散幅が大きいため正確な把握が難しいのですが、ここではそれぞれ420Hz・840Hzと記します。ただし、313系と比較して拡散を排除した形となるY000系において、厳密には毎回数Hzの誤差があるため、313系でも実際は同様に誤差があると考えられます。

後期タイプ(発電ブレーキあり)

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF C-SC37A(1C2M2群)、C-SC38AG2(1C2M1群)
東芝3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2006年
パターン 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-15P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3次車以降のうち、発電ブレーキを搭載している車両が該当するVVVF音です。この頃の東芝では2レベルIGBTにおいて、変調率が高いときのPWMを非同期変調から同期変調に置き換えていましたが、この変化を3レベルIGBTにも展開したのがこの音となります。ただし、2次車以前で急上昇が始まる点と比較しても、かなり早いタイミングで同期変調(15パルス)へと切り替わっています。こちらの変化以外は1・2次車の設定が引き継がれています。
 発電ブレーキ搭載車に関して、1・2次車同様停止間際には完全に空気ブレーキに切り替わる設定となっています。

後期タイプ(発電ブレーキなし)

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF C-SC37A(1C2M2群)、C-SC38AG2(1C2M1群)
東芝3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2006年
パターン 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-15P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 3次車以降のうち、発電ブレーキを搭載していない車両のVVVF音です。該当するのは1100番台(ただし初期2編成のみ)・1600番台(4本)・2500番台(17本)となります。これらの編成のみ、停止間際まで電制が継続する仕様となっています。上のファイルと聴き比べてみるとわかりやすいかと思います。

1000形

最終更新日:2021.5.31

 名古屋臨海高速鉄道1000形は、2004年にあおなみ線の開業に向けて登場しました。日本車輌で製造され、車体にはブロック工法が用いられています。一方で保守をJR東海に委託していることもあり、機器類は同社の313系を基本としています。現在4連8本が在籍しています。

前期タイプ

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF SVF070-A0/SVF071-A0(1C2M2群)
東芝3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 2004年
パターン 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 1000形のVVVF音です。基本的には313系(前期タイプ)と同じですが、本家と異なり停止間際まで電制が続く仕様となっています。他にも、発電ブレーキ非搭載、313系とは異なる主電動機採用といった足回りに関する特徴があります。
 装置形式についてですが、多くのWebサイトでは「愛環2000系:SVF064-A0、あおなみ線1000形:SVF070-A0」としている一方、「鉄道車両と技術」の「VVVFインバータ装置 諸元表」では「愛環2000系:SVF070-A0またはSVF071-A0(ただし071の方は80kVAのSIV搭載)、あおなみ線1000形:SVF064-A0」と記載されています。「鉄道車両と技術」の方が具体的に記載されていますが、1000形の方が後の登場であり、少なくとも制御装置を2種(SIVありorなし)搭載しているため、実際は「愛環2000系:SVF064-A0、あおなみ線1000形:SVF070-A0またはSVF071-A0(ただし071の方はSIV非搭載)」ではないかと考えています。