VVVF名鑑

東武鉄道

傾向と対策

 東武のVVVF車は最新鋭の70000系・500系以外はアルミ車体でも録音が可能です。これら(100系および50000系列・60000系)は録音可能な箇所が限定され、また拾える音も癖のあるものとなってしまいますが、解析する分には問題ないレベルでしょう。一方のステンレス車も、20000系列や9050系はリスニングスポットの範囲が非常に狭く、通勤用ステンレス車としてはもっとも収録難易度が高いかもしれません。そのため、収録しやすい30000系や10030系更新車でまず練習してから狙うのが良いでしょう。

100系

>最終更新日:xx

 1990年に登場した、東武の看板特急「スペーシア」用の車両です。VVVFインバータを採用した有料特急としては本系列が一番最初に営業運転を開始しました。日光線の勾配に対応するため、内装だけでなく足回りも豪華仕様(6両全部が電動車)となり、1C8M方式のGTO-VVVFが採用されました。浅草発着の運用に加え、2006年からはJRへの直通も始まり、製造後30年経過した現在もGTOのまま活躍中です。しかし、2022年に入ると104Fがまず廃車となり、他の編成も後継のN100系により置き換わる予定となっています。
 1C8Mのシステムを採用しつつ、音は日立のいわゆる"初期型"のままではあるのですが、ソフト変更によりパルスモードの切替タイミングが登場時から変更されたようです。ただし、104Fについては廃車時まで、登場時のものと思われるPWMが適用されたVVVFが1ユニットのみに存在していました。長らく104-5・6が該当していましたが、2020年4~5月頃よりこの音を発するユニットが何度か編成内で変わっていました(リンク先は当時の私のメモです、エビデンスではございません)。なお、装置丸ごとの入替えなのか、部品単位の交換があったかは定かではないです。何らかの理由で旧ソフトを更新できず、そのことで不調気味になったため(一時的な運用離脱や当該部のユニットカット等があった模様)、2020年頃から相性を確かめる意味でこの振り替えを行っていた可能性があります。
 客室内やデッキの通路部でも収録自体は行えますが、アルミ車特有の篭った音となってしまいます。むしろ、おすすめはドアレールの金属露出部ですが、数箇所に1箇所レベルでクリアに録れる場所はありません。おまけに、音量が突然小さくなったかと思いきや一瞬だけ大きくなる等、不安定な挙動があるというのが難点となります。

ソフト未更新車(消滅)

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF VF-HR127(1C8M)
日立2レベルGTO(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1990年
パターン H2G-2 加速時:非同期-45P-27P-15P-9P-5P-3P-1P
減速時:1P-3P-5P-9P-15P-27P(-45P、まれに)
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★
音質: ★

 現在は消滅した、登場時のままと思われるパターンです。加速時の27パルスの伸びる高さが、その他の車両で聞けるソフト更新後の音と一番見分けやすい部分になります。また、加速時の残りの部分についても、やはりパルスモードの切替点がソフト変更後と異なっているようですが、使われているパルスモードの種類そのものに違いはありません。
 一方の減速時については、更新後と切替タイミングにほぼ差はありませんでしたが(録音したデータの中の傾向として、更新前の方がわずかに低速側になる切替点が多い?誤差の範囲かもしれませんが)、こちらのファイルは停止前に45パルスに一瞬だけ到達しました。ソフト変更後含め、こちらの現象を捉えることができたのはこのときだけでした。特急車の運転の仕方だとどうしても出現頻度が下がってしまうのでしょうね。
 収録した2020年12月は104-3・4ユニットが該当しており、掲載データは104-3のデッキ、海側ドアレールのものです。

ソフト更新車

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF VF-HR127(1C8M)
日立2レベルGTO(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1990年(当パターン:不明)
パターン H2G-2 加速時:非同期-45P-27P-15P-9P-5P-3P-1P
減速時:1P-3P-5P-9P-15P-27P(-45P?)
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★
音質: ★

 ソフト更新後はこちらの音となり、104Fの廃車により2022年12月現在は残存している全ユニットが該当します。27パルス→15パルスの切替点が全然異なることがわかるかと思います。加速時はその他にも細かい差もある一方、減速時の15パルスの見事な高さは受け継がれていますね。
 収録は、104-6のデッキ、山側ドアレールで行いました。当初上記ソフト未更新車を収録するつもりでこの位置で録音していたのですが、録れたのはこちらの更新後の音だということから、未更新ソフトの振替えに気づいた次第でありました…。

30000系

>最終更新日:xx

 1996年に、半蔵門線直通に備えてに登場しました。足回りには3レベルIGBTが採用され、2001年度の増備車からは全電気ブレーキが追加されました(従来車も後にこのタイプのソフトに更新)。2003年より半蔵門線直通運用への充当が開始されたのも束の間、非直通運用もこなせるよう分割編成としたことが仇となり、(中間に乗務員室がなく)より混雑時への対応に優れた10両固定編成の50000系列へと置き換えられました。さらに、追われた先の地上運用においても併結相手の10000系列との相性が悪かったせいなのか、2011年~2021年にかけて全編成東上線へと転出しました。
 モハ35602は本線時代にPMSM試験車へと改造されています。東上線に転属後も、このシステムは引き続き搭載が続いております(調子にムラがあるのかたまにユニットカットされてしまうようですが)。

日立3レベルIGBT(ソフト更新車)

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF VFI-HR1420B(1C4M)
日立3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1996年(当パターン:2001年)
パターン H3I-2 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 現在の、全電気ブレーキ対応後のVVVF音です。登場時は250系と同じパターンであったと仮定すると、停止間際にキャリア周波数が200Hzへと切り替わる点を除けば、①ダイポーラ変調時キャリア周波数の2倍が最も大きい成分になる ②非同期キャリアが900Hz→1800Hzに変化するとき、一定なのは周波数の変化率になる(250系は周期の変化率) の2点が変化しています。日立の3レベルIGBTで全電気ブレーキを採用しているものは①の特徴が当てはまるものが多いですね(西武10112F、都営12-000形IGBT車等)。

250系(消滅)

>最終更新日:xx

 250系は1998年に特急「りょうもう」用に登場しました。車体はそれまで製造されていた200系に準じていますが、機器流用元となっていた1700系・1720系の本数が1本足りず、完全な新造車が必要となったことから製造されました。足回りは同時期に製造されていた30000系をベースとしていますが、ギヤ比の変更等特急車向けのチューニングが加えられています。
 2015年よりモハ251-5においてPMSMの試験搭載が開始されました。この結果が反映された500系の増備により200系列の廃車が始まり、251Fも2022年に廃車となってしまいました。

日立3レベルIGBT(消滅)

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF VFI-HR1420B(1C4M)
日立3レベルIGBT(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1998年
パターン H3I-2 非同期(ダイポーラ)-非同期(ユニポーラ)-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 251Fのうち、モハ251-2・3は登場時からの日立3レベルIGBTを最後まで搭載していました。30000系の方は地下鉄直通開始前に全電気ブレーキへの対応が行われた一方、こちらは改造が行われなかったため、PWMのパターンに相違点があります(詳細は30000系の項目にて記載)。そのため、東武では唯一の音となっていましたが、実はほぼ同じパターンが近鉄16400系で使われています。VVVF領域の終端速度も近いため、コイルで収録されたものだけでは区別がつきにくいですね。

東芝2レベルIGBT(PMSM用)(消滅)

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF SVF098系?(1C1M×4)
東芝2レベルIGBT(DC1500V・6極PMSM用)
登場時期 2015年
パターン 非同期-9P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★★★

 2015年にPMSM試験車となったモハ251-5のVVVF音です。加速時のパターンは京急1367編成とほぼ同じです。一方で減速時については1パルスまでを捉えることができず、パルスモードの全貌は不明となっています。数データ録音した中で、減速時の1パルスモードは高速走行中の減速時に一瞬捉えることはできたのですが、すぐに惰行へと移行してしまいました。