VVVF名鑑

小田急電鉄

傾向と対策

 小田急の車両をコイルで収録する場合、ステンレス車は基本的に苦戦することはないと思います。同一形式の中における車両ごとの搭載機器の差と、主な運用を押さえておけば良いでしょう。鋼製の8000形はステンレス車に比べるとリスニングスポットの範囲が狭く、かつ主電動機の"直上"と呼べるかは微妙な位置にはなりますが、それでも台車付近を広めに探ることで辿り着けるはずです。SiC車の2本を運良く捕まえたいですね。
 特急車に関しては鋼製の30000形と、アルミ車でも連節部を持つ50000形が録音可能なことを確認しております。ただ、停車駅と乗降客に注意しながら録音する必要があるという意味でハードルが高いと言えるかもしれません。
 小田急はドアを閉めてから発車までの時間を安全上長く設けているため、録音開始タイミングが他の事業者と異なってくるので気をつけたいところです。

1000形

最終更新日:2020.6.19

 1987年に小田急初のVVVF車として登場しました。最初は地上用の4連が登場しましたが、その後千代田線直通用車両やワイドドア車等様々なバリエーションが展開され1993年までに196両が製造されました。2001年頃から2012年までにVVVFのソフトが更新され、GTOのまま純電気ブレーキに対応するようになりましたが、その間に後任の4000形が増備され千代田線直通運用から撤退しました。
 2014年度からリニューアル工事が始まり、足回りには世界初のフルSiC適用VVVFが新たに搭載されました。この際、隣接するM車に関しては3000形以降と同じ向きでのユニット化が行われています。なお、ワイドドア車が対象外であるものの、リニューアルは非常に遅いペースで進められているためもうしばらくGTOの音は安泰であると思われます。

未更新車(GTO・ソフト更新車)

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-184-15V15(1C4M)
三菱2レベルGTO(1500V・4極IM用)
登場時期 1987年(当パターン:2001年頃)
パターン 非同期-9P-5P-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 GTO車のソフト更新後のVVVF音です。パターンそのものは名鉄100系・200系と同じですが、先に純電気ブレーキ化が施された新京成8800形同様非同期モードのキャリア周波数は幾分か低いものとなり、9パルスと滑らかに繋がるような処理が行われています。ただし、新京成車とは(1)速度推定モードなし (2)インバータ周波数(&これに紐づいているキャリア周波数)固定起動 (3)停止時のキャリア周波数が終始下降、といった違いがあります。つまり、新京成車とは低速域での非同期キャリアがどちらが一定でどちらが上下するか、加減速時でその関係が入れ替わります。

更新車(フルSiC)

音声ファイル(減速途中ノッチオフあり)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速
VVVF MAP-198-15V267(1C4M2群)/MAP-194-15V279(1C4M1群)
三菱2レベルMOSFET(1500V・4極IM用)
登場時期 2015年
パターン 非同期-27P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 リニューアル車のVVVF音です。世界初のフルSiCモジュール適用インバータとなっていますが、キャリア1250Hzの非同期モードから3段階の27パルスに変化するパターンはこの段階で確立できていて、以降様々な車種へと同様のパターンが展開されていきます。1000形特有の挙動としては、その後の車種と比べると27パルスの1段目(過変調時のパルス数が17の箇所)がやたらと短い、という点が挙げられるくらいです。

50000形

最終更新日:2020.5.31

 2005年に、10000形(HiSE)に代わるロマンスカーのフラグシップ車両として登場し、VSEの愛称がつけられています。10両編成を組み、30000形では採用されなかったロマンスカーの伝統である展望席や連接構造が再び取り入れられています。また、3000形で試験が行われていた防音カバーを取り付けたり、他社に先駆けて全閉式主電動機を採用したりと走行音の低減も図られています。現在10連2本が運用中です。
 50000形はアルミ車体ですが、幸い連接部分の台車直上に金属部が露出しているためにコイルでの録音は可能です。ただし、通路上になるため、乗降客や乗務員の妨げにならないよう録音方法を工夫する必要はあります。

音声ファイル(加速)

解析画面

加速

音声ファイル(減速)

解析画面

減速

※音声をトリミング後解析したものです。

VVVF SVF073-A0 (1C4M)
東芝2レベルIGBT(1500V・6極IM用)
登場時期 2005年
パターン 非同期-15P-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★
音質: ★★

 50000形のVVVF音です。東芝2レベルIGBTでは珍しく6極IMと組み合わさっていますが、かといってパターンそのものはこの時期の標準的な同期過変調使用タイプとなっています。ただし、この車種のように非同期キャリアの上限が1000Hzに設定されているものは、その次の同期モードに21Pが使われることが多いですが(TX-1000系、321系、阪急9000系等)、50000形は加速時も減速時も15Pが用いられています。というのも6極であるため、同期に切り替わるインバータ周波数が高く、その15倍程度で非同期終端部の1000Hzに近くなりキャリア周波数の変化が比較的スムーズになるみたいです。
 余談ですが、VSE登場後名鉄3300系においても東芝製2レベルIGBT-VVVFと全閉6極IM(ただし、VSEの三菱製と違ってこちらも東芝製・2群中の1群(片台車)のみ)を組み合わせた試験車両が登場しました。音を聞く限り、こちらは非同期終端のインバータ周波数がもう片方の台車で同時に試験していた4極IM向けとほぼ同じになるように設計されていたためか、非同期が早く終わり次のパルスモードに移っていたようですね。

4000形

最終更新日:2020.5.31

 1000形に代わる千代田線直通用に2007年に登場しました。直通先の常磐緩行線とある程度の車両の共通化を図ったためか、E233系をベースとしています。多くの機器は同形式に準じたものとなっていますが、主電動機(全閉6極IM)・歯車比(96/17=5.65)・駆動装置(WNドライブ)等は小田急独自のものとなりました。2016年までに10連16本が製造され、千代田線直通のほか新宿発着の優等運用等にも充当されています。

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-198-15V172(1C4M2群)
三菱2レベルIGBT(1500V・6極IM用)
登場時期 2007年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 4000形のVVVF音です。ベースになったE233系と、後に登場した名鉄4000系を合わせたような特徴が出ています。E233系とは非同期のキャリア周波数が750Hzである点が共通で、装置筐体も似ていることから、やはり制御装置の設計をする際にすでにあったE233系向けのものを土台に諸々がアレンジされたと考えられそうですね。音に現れるそのアレンジの中身として、センサレス化による速度推定部や非同期終端インバータ周波数の変化等があります。ただし、この時点でのインバータ周波数はE233系の6/4=1.5倍よりは低いため、ここでの主電動機回転数はより低くなり気持ち非同期が短く感じられますよね。

5000形

最終更新日:2020.7.24

 2019年に登場した小田急の最新鋭の車両です。3000形の正当な後継者と言えそうな車種であり、先代の4000形が地下鉄直通用・総合車両製作所の系譜限定製造であったのに対し、地上専用となることから拡幅車体が復活し製造も川重・総車・日車の3社体制に戻りました。確かに車体はこれら3社の特色が合わさったような構造をしています。機器類は1000形リニューアル車に準じたスペックとなっていますが、ユニット構成をやめ各M車同士独立した構成となっています。

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF MAP-194-15V330(1C4M)
三菱2レベルMOSFET(1500V・4極IM用)
登場時期 2019年
パターン 非同期-27P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★★
音質: ★★★

 5000形のVVVF音です。似たような筐体を採用した新京成80000形とは異なり、1000形同様比較的オーソドックスな三菱フルSiCのパターンが採用されています。1000形との違いは、27パルスの1段目が少し長くなったこと、27パルス内での切替えの音がややはっきりしなくなったこと、くらいでしょうか。もっともデータ数がまだ少ないのでまた何区間か録音して傾向を見てみたいですね。