VVVF名鑑

Osaka Metro

傾向と対策

 Osaka Metroの車両の特徴として、特定の編成以外はすべての車両に点検蓋が備わっているというものがあるため、車体の材質に関わらずコイルでの録音は可能です。ただし、ステンレス車の場合は蓋の周囲の床でも録音は可能です。また、点検蓋はT車にもあり間違えやすいので、事前にM車の位置は把握しておいた方が良さそうですね。
 第三軌条路線およびニュートラムの車両は、擦れる音がどうしても入るため、後にノイズ処理が必要となります。一方で堺筋線の車両は線内の最高速度が低いため、CVVF領域までの変化を捉えたいなら阪急線内で録音した方が確実となります。リニア路線については、減速時はCVVF領域まで捉えられませんが、その中でもより速度を出す区間で録音したいですね。いずれの路線もGTO車は減りつつあるので、最優先で録音した方が良いでしょうね。

20系・新20系

最終更新日:2022.12.31

 20系は1984年に、営業用車両としては初のGTO-VVVF搭載車として登場しました。装置メーカーは三菱・日立・東芝で、それぞれの独自設計のものを搭載していましたが、直通先の近鉄けいはんな線(延伸)開業に備え、2006年までにすべてIGBT-VVVFに交換されました。更新後の装置も上記3社設計で、ハードには細かな差異があるようですが、ソフトは日立原設計のもので揃えられているようです。なお、トップナンバーの2601Fは2014年に廃車になり、残りの編成についても30000A系や400系の導入により数年以内の引退が見込まれています。
 新20系は1990年に登場しました。外観は大幅に変わり、大量増備を見越し車体にはより廉価となるステンレスが用いられています。性能面は20系のものを基本としつつブラッシュアップが図られ、GTOの大容量化が可能となったおかげで、主回路は1C2M2群から1C4M構成に変化しました。なお、こちらも装置メーカーは三菱・日立・東芝の3社ですが、ソフトの原設計はすべて日立に統一されているようです。こちらも2011年から機器更新が始まり、順次20系と同等のIGBT-VVVFに載せ替えられています。

21系(未更新車)

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF VF-HR129(日立)、SVF001-A0/A1(東芝)、MAP-144-75V26(三菱)(1C4M)
日立2レベルGTO(DC750V・4極IM用)
登場時期 1990年
パターン H2G-2 加速時:非同期-45P-27P-15P-9P-5P-3P-広域3P-1P
減速時:1P-広域3P-3P-5P-9P-15P-27P-45P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 御堂筋線用21系のGTO車のVVVF音です。起動加速度が3.0km/h/sと他の新20系よりも高くなっています。パターンは一般的な日立GTO初期型のものとなっていますが、加速時は45パルスの伸びが目立ちます。(他車種だとここまで音が上昇するのは東武100系くらい?)それ以外のパルスモードは66系と比較すると同じくらいか、むしろ低いようです。減速時はVVVF領域の長さが加速時よりも大幅に長くなり(このファイルでは加速時:インバータ周波数43Hzまでに対し減速時:インバータ周波数78Hzまで)、その中でも9パルスがかなりの長さを占めています。
 このファイルでは、減速時の45パルスが、加速時に非同期→45パルスに切り替わるインバータ周波数よりも低いところまで継続します。なので減速時は非同期領域が設定上存在するかはわからないですね…もしブレーキが強めにかかったときに現れるのであれば聴いてみたいです。

66系

最終更新日:2022.12.31

 1990年、堺筋線・阪急直通用に登場しました。ほぼ同時期登場の新20系で用いられている技術を1500V・架空電車線方式向けにアレンジしている車両で、制御装置も新20系同様三菱・日立・東芝(すべて日立原設計ソフト)のGTO-VVVFを採用しています。1994年に60系の非冷房車を置き換えた後は一旦増備が止まりましたが、2002年に残る60系の冷房車を置き換えるために再度増備が行われました。このときの車両は新たにIGBT-VVVFを搭載し、東芝・三菱のそれぞれ独自設計のものが採用されています。
 GTO車に関しては2012年よりIGBT-VVVFへの更新が進められています。メーカーは更新前同様三菱・日立・東芝で、更新前と更新後で同じメーカー製の装置が搭載されているようです。三菱・東芝は2002年以降の増備車に搭載されたものとほぼ同等の装置へと更新している一方、日立は新設計のものを採用しました。

未更新車

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF VFG-HR1420H(日立)、SVF012-A0(東芝)、MAP-184-15V24(三菱)(1C4M)
日立2レベルGTO(DC1500V・4極IM用)
登場時期 1990年
パターン H2G-2 加速時:非同期-45P-27P-15P-9P-5P-3P-広域3P-1P
減速時:1P-広域3P-3P-5P-9P-15P-27P-45P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★★
音質: ★★★

 GTO車のVVVF音です。新20系と比較すると加速時の45パルス、減速時の9パルスは高い音まで伸びなくなり、雰囲気はむしろ東急9000系にそっくりとなりました。ただし、66系の方がVVVF領域が少々長いようですね。2022年12月の段階では日立製(第12編成)のみが残存しており、消滅間近です。

10A系(消滅)

最終更新日:2022.12.31

 10系は1973年に初代20系として登場しました。電機子チョッパ制御を採用し、省エネ化・トンネル内放熱量抑制に大きく貢献しました。1975年に10系へと改番されたのち1979年から量産が始まり、複雑な組替えを経て最終的には10連23本の体制となりました。1998年から更新工事が始まり、2007年には主回路がVVVFとなった編成が登場しています(扱いも「10A系」へと変化)。日立製・三菱製のVVVFが採用されていますが、ソフトの原設計はすべて日立のようです。30000系の登場によりチョッパ車の廃車が始まりましたが、2019年には10A系の廃車も始まり、2022年7月には全車引退となりました。

音声ファイル

解析画面

加速
減速
VVVF VFI-HR2415E(日立)・形式不明(三菱)(1C2M2群)
日立2レベルIGBT(DC750V・4極IM用)
登場時期 2007年
パターン H2I-2 非同期-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 点検蓋
範囲: ★★
音質: ★★★

 2007年登場ですが、この頃のE531系や321系のように同期過変調は用いず、2003~4年頃主流の非同期急上昇(1500Hzまで)が取り入れられています。キャリアが675Hzである点は20系更新車同様ですが、ランダム変調が加えられ、急上昇手前までこの設定を保ち続けます(西武9000系のランダム変調適用版とも取れますね)。また、減速時は回生失効手前のわずかな瞬間のみ低キャリアへと切り替わります。ただし、全電気ブレーキと呼べるような速度まで回生は続かず、一瞬で途切れてしまいます。この音は普通に聴いているとほとんど捉えられないですね…管理人もコイルで録音して初めてこの存在に気づいたレベルです。
 のちに登場する札幌市交5000形ではキャリア周波数の設定がそっくりなPWMが用いられています。ただし、VVVF領域が長くなり、回生失効速度も文句なしに「全電気ブレーキ」と呼べる速度まで広げられているうえ、この部分のキャリア周波数の下がり方も変わっています。