VVVF名鑑

JR北海道

傾向と対策

 JR北海道の車両は、ステンレス製が多数であるにも関わらず、通勤車・特急車ともに非常に録音しづらいです。床の構造故と思われますが、籠るか、他機器のノイズの方が目立つか、あるいはその両方かといった具合です。同じ編成内でもデッキによって音の拾い方が変わるケースさえあります。とはいえ、アルミ車(未確認)以外のVVVF車は全く音が拾えないというわけではないので、録音しに行く価値は十分にあります。

785系

最終更新日:2023.3.4

 1990年、札幌圏の特急の輸送力増強用に登場しました。JRの旅客用量産車両では初めてVVVFインバータを搭載し、日立製のGTO素子使用のものが採用されました。当初は基本4連+付属2連でしたが、2002年にuシート車(500番台)を組み込むことになり、5連7本に組み換えられました。なお、この際余剰となった2両は長期間休車となった後、2010年に「スーパー白鳥」の増結用(300番台)として復活を遂げました。
 0番台は2005~2007年にかけて、また300番台も2010年に機器更新を実施し、元々搭載していたGTO-VVVFはすべて取り替えられました。また、2016年の北海道新幹線開業により、「スーパー白鳥」用の789系が札幌圏に転用されたため、旧基本編成をルーツとするNE-1~5編成は置き換えられて廃車となりました。また、300番台も転用されずに廃車となっています。2023年現在はNE-501・502編成の2本のみが運用を続けています。

500番台(東芝)【たろいも氏からの頂き物】

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VVVF N-CI785-1A(1C2M2群)
東芝2レベルIGBT(AC20kV・4極IM用)
登場時期 2002年
パターン 非同期-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★

 2002年に追加製造された、500番台のVVVF音です(同乗のたろいも氏からの提供音源、管理人は0番台の方を録音)。2種の装置が採用されましたが、NE-501・502編成の4号車が搭載している東芝製装置のみ、2023年現在も稼働しています。東芝製2レベルIGBTとしては珍しく、急上昇もせず、同期多パルスモードも介さずに非同期から広域3パルスに移行します。非同期終端部におけるキャリア周波数の高さが1000Hzなので急上昇させなくても良いと判断されたのかもしれませんが、次の0番台更新車では、当該部の処理が変更されることになります。

0番台(機器更新車・東芝)

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VVVF N-CI785-4(1C2M2群)
東芝2レベルIGBT(AC20kV・4極IM用)
登場時期 2005年
パターン 非同期-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★

 2005年に登場した機器更新車のVVVF音です。こちらも2種のVVVFがありましたが、やはり現役のNE-501・502編成には東芝製のものが採用されており、もう一方の日立製のものは既に聴けなくなっています。一見、500番台(東芝)と同じ音に感じられますが、よく見ると非同期終端部でキャリア周波数が1000Hzに収束した後、更に1100Hzまで上昇するフェーズがあります。また、減速時は広域3P→非同期に切り替わるタイミングの問題か、少し低いキャリア周波数から1000Hzに下降します。この処理が西鉄7000形・7050形等でみられるような急上昇の仲間かというと、また異なるもののように感じられます。2005年は基本的に同期多パルスを使用している時代ですし、上昇の仕方も緩やかですし、キャリアが不安定に上下するフェーズもありませんので…。
 0番台更新車の方は、停止間際まで電制が続く仕様となっていますが、掲載ファイルでは最後打ち切られています(最後まで電制が続いている音源はこちら)。

789系

最終更新日:2023.3.4

 789系0番台は2002年、「スーパー白鳥」用に登場しました。当初は5両編成であったものの、2005年に基本編成は6連化され、さらに2連の付属編成も増備されました。北海道新幹線開業後、基本編成に関しては札幌圏に転用され、785系の大半を置き換えました。一方で付属編成は2023年現在も運用には入らず、苗穂工場での留置が続いております。
 2007年には、札幌圏で運用されていた781系の置き換え用に789系1000番台が登場しました。こちらは2M3Tの5両編成で、前面非貫通化・uシート車連結・ドアの片側2か所化・歯車比の変更等、0番台とは仕様が大幅に異なる車両となっています。
 2023年現在、全車とも札幌運転所に所属し、0番台は「ライラック」、1000番台は「すずらん」「カムイ」で使用されています。

0番台(三菱)

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VVVF N-CI789-1/2(1C2M2群)
三菱2レベルIGBT(AC20kV・4極IM用)
登場時期 2002年
パターン 非同期-3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★

 0番台基本編成の2号車と4号車が搭載しているCIのVVVF音です。このCIは785系500番台(NE-1~5編成用)に搭載されたものに準じており、「日立製」とされることが多いですが、PWMの特徴から原設計は三菱である可能性が非常に高いです。2002年の登場であるにも関わらずランダム変調が用いられていること(日立が乱数ベースのスペクトル拡散を使用し始めたのは2004年頃)、起動時の非同期キャリアが平均500Hzであること(JR北海道の他車両(2レベルIGBT)の場合、500Hz:三菱、525Hz:日立)、非同期~1パルス間、および力行立ち下げ・回生立ち上げ時に3パルスが用いられていること、等がその根拠です。管理人が乗車した編成に関しては、2号車(本音源収録対象)のCIには三菱、4号車のCIには三菱と日立の両方の銘板が確認できています(いずれもCI全体ではなくフィルタ箱の銘板ですが…)。
 ランダム変調の拡散幅が狭く、キャリアが900Hz以上まで上昇して3パルスに切り替わる様子は、その後登場した733系三菱車(4極・6極)とは異なる特徴となっています。

0番台(東芝)

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VVVF N-CI789-3(1C2M2群)
東芝2レベルIGBT(AC20kV・4極IM用)
登場時期 2002年
パターン 非同期-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★★

 0番台基本編成の5号車が搭載しているCIのVVVF音です。このCIも785系500番台(NE-501・502編成用)に搭載されたものに準じており、歯車比こそ異なっていますがVVVF領域終端のインバータ周波数もほぼ同じで、コイルで録音できる音には差が見受けられないです。三菱車と同じ編成で収録したのですが、デッキの床の構造が異なっていたためか、三菱車は他機器のノイズが多い一方、東芝車は他機器のノイズが抑えられる分籠った音になるという違いが表れています。

1000番台

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VVVF N-CI789A(1C2M2群)
日立2レベルIGBT(AC20kV・4極IM用)
登場時期 2007年
パターン H2I-3 非同期-9P-広域3P-1P
収録のしやすさ タイプ: 標準
範囲: ★★
音質: ★★

 1000番台のVVVF音で、こちらは0番台とは異なり純粋な日立製CIのみが採用されています。E233系3000番台等、この時期のJR車にありがちな日立のパターンが用いられています。ただし、非同期キャリアが800Hzまでしか上昇しなかったり、9P→広域3Pの繋がりが不連続であったりといった特徴があります。これらの特徴は、その後登場するJR北海道の日立製CI搭載車にもみられるようになります。